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弁護士ノート

新年のご挨拶(弁護士 渡 辺 淑 彦)

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 新年、あけましておめでとうございます。

 今年、東日本大震災及び東京電力福島第一原発事故から15年を迎えます。福島県内の避難指示地域も小さくなり、被災地には、帰還人口に見合わない立派な施設が建設され、外形上、徐々に「復興」が進んでいるようには見えます。

しかし、原発の過酷事故後も、地域は十分に再生できるということを実感できるまでには至っていません。現在も根強く続く風評被害、処理水放出に伴う輸入規制問題、中間貯蔵施設から30年内の処理土壌搬出問題、原発事故後の地域再生の困難さなど、原発事故に伴う課題は山積みの状態です。

 よく引用されていますが、関東大震災後、福田徳三博士は「人間の復興」を唱え、「『人間の復興』とは、大災によって破壊せられた生存の機会の復興を意味する。今日の人間は、生存するために生活し、営業し、労働せねばならぬ。すなわち生存機会の復興は、生活・営業・及び労働機会(これを総称して営生という)の復興を意味する 。道路や建物は、この営生の機会を維持し、擁護する道具立てに過ぎない。それらを復興しても本体たり実質たる営生の機会が復興せられなければ何にもならないのである」と述べたといいます。私も、復興とは、物の復興ではなく、「人間の復興」でなければならないのだと思います。

すでに賠償打ち切り後、相当期間が経過し、小さく、温かい地域コミュニティの中で、生業を営んできた高齢の相談者が、希望や生きがいを失い、さらには、生活困窮している姿をみると、法律家として黙っていることは出来ません。

 また、年齢を重ねるにつれ、復興に向けたお金の使い方として、次世代に負担を強いるような「復興」があっていいのかとの疑問も感じています。東京電力福島第一原発には、毎年2500億円を超える廃炉費用が費やされていると言います、しかし、予定された廃炉作業は遅々として進んでいません。そもそも、「廃炉」とは、どのような状態にすることかも明確でもありません。

現在も「原子力緊急事態宣言」は解除されておらず、「国難」ともいえる状態が継続していますが、国民の原発事故問題への関心は徐々に薄れていることは否定できません。逆に、脱炭素化への流れの中で、原発回帰も強まっています。

このような原発問題や地域再生の問題への関心は、ライフワークとして、傍らに置きながら、一つ一つの小さな事件の中にこそ、法律家としての素朴な正義感を実現できる社会問題があるとの信念のもと、今年も、頑張りたいと思います。

 また、地方における司法アクセス改善の問題も引き続き関心をもって取り組みたいと思います。新規登録弁護士が大都市に一極集中する流れの中で、その流れに抗うように、ライフワークの一つとして、今年も、地方に赴任する若手を育て、送り出すプラットホーム事務所としての役割を果たしていきたいと思っています。                         

弁護士 渡 辺 淑 彦